『デジタルネイティブな日本人は世界と戦うべきか、共存するべきか?』デジタル、クリエイティブ業のトップランナーが語ったアクセンチュア株式会社就活イベントの後編。

【前編】「発想だけでは売れない時代」「デジタルの中に物語性をプラスする」齋藤精一氏と志伯健太郎氏が語るデジタルネイティブな日本人

【パネリスト】
齋藤精一 株式会社ライゾマティクス代表。コロンビア大学の建築学科で、ロジカルな思考をもとにアートやコマーシャルの領域で、立体的インタラクティブな作品を数多く作る。世界で活躍するクリエイティブディレクター。

志伯健太郎 株式会社GLIDER代表取締役社長。ワイデンアンドケネディという世界的企業在籍時にクリエイティブディレクターとして数々のCM映像作品を手掛ける。国内外で培ったクリエイティブな手法と、多様なアプローチで、企業の変革に取り組む。

【モデレーター】
加治慶光 アクセンチュア株式会社チーフ・マーケティング・イノベーター。コカ・コーラ、ソニー・ピクチャーズ、日産自動車など数回転職を経験したのち、2014年からアクセンチュアで勤務を始める。

生き残るためには”戦い”か”共存”か

齋藤、加治

加治:「世界と戦う」とはどういうことだと考えますか?

齋藤:まず、その問い自体が日本っぽいと思います。最近アプリでもOCRといって文字をスキャンしてリアルタイムに変換されてどこでも見れるとか、同時通訳みたいなサービスをもっとインキュベートするというのがひとつと、もう一つは国策としてシステムを作るということが大事です。

志伯:僕は自由を求めた結果、世界に出て行きました。戦ってはいません。世界で仲良くするにはどうしたらいいだろうと思います。今は会社をやっているのですが、その前に働いていたアムステルダムの会社はすごく多様で国籍もバラバラで、多様な方がいいと思いました。日本の会社は服装や髪のこともいろいろ言いますが、世界だと肌の色から違うので何も言われません。世界で仲良くする、戦うために、なるべく多様でありたいです。

加治:海外にいて、日本人であることを意識することはありますか?

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志伯:僕はすごく日本人であることを意識します。国籍だけの問題でなく、食べ物や考え方などがミックスされて、意識する人がたくさんいるからおもしろくなるのではないでしょうか。

齋藤:僕もすごく意識します。特に海外で暮らしていればいるほどそういう意識が大きいです。なぜ戦う方がいいかというと、個人的に悔しい思いをしたのが、あるジャーナリストから、SONYはヨーロッパの会社だ、ニコンはアメリカの会社だと言われて、SONYもニコンも日本から生まれた会社だという話をされました。その年にちょうど日本の大手さんが3位から7位に落ちました。

そのときに、日本のモノづくりがここまで落ちたのは悔しかったです。日本人はおもてなしの能力というか、ディティールまでいろいろなことを考える能力が非常に高いので、そこが落ちてしまったのはすごく悔しくて、仕事の上でも挽回したいです。

加治:僕もアクセンチュアで1年間働いてみて、すごく日本人的な視点を問われる瞬間があるんですね。それぞれの国や自分が持っているよさというのは否定をせずに、それを戦うのか協調に使うのかというのを考えていくのがいいと考えます。
我々とみなさんの違いは、最初から国境がある世界に生まれたかどうかです。我々は国境があるという前提で進んできて、それをどう突き崩そうかということでありましたけども、みなさんは最初から国境がないですよね。齋藤さんや志伯さんのようにいろんな価値観を受け入れることをしていくと成長が早いはずです。

国家という概念は簡単にはなくなりませんが、しかし戦争はひょっとしたらこれから30年間でなくなるかもしれません。みなさんは国家がありながら国境はない暮らしをしている中で、新しい世界を描いていただいて、いろんなことに貢献していただきたいです。

デジタルネイティブの世界が進んだら、会社という概念はなくなるのか

グラフィックレコーディング

志伯:僕はなくならないと思っています。もともと電通という大きな会社に勤めていて、今は小さな会社をやっているのですが、小さな会社をやったら余計に会社って必要だと実感しました。フリーランスでやれることも、もちろん沢山あるでしょう。

しかし、僕らは課題表現にもとづいたアートというのを基本にしているので、そういう課題解決とか何か越えなければいけないものがある以上、スポーツの団体競技のように組織の中でチームワークでやるのが向いていると会社を4~5年やってみて思います。もちろん個人競技の寄せ集めで団体競技を戦うこともできますが、チームがある方が単純に強いです。

齋藤:会社という概念は変わらないと思いますが、働き方はまさに変わっていくと予想しています。ライゾマティクスもコレクティブでやっているのですが、将来的には個人事業主の集まりみたいな感じになって、そういう人たちが必要なプロジェクトに応じて集まり、母体となるライゾマティクスに請求するという、そういう体系になっていく予定です。ただ、仕事をするというのはやはりチーム論なので、そのチーム自体は絶対になくならない=企業はなくならないでしょう。

デジタルネイティブな世界で、日本人が世界を一番引っ張っていける領域

齋藤:ヘルスケアが日本人は得意です。技術的にはたくさんあると思うのですが、あとはどれだけ起業の仕方が早いか、アイディアを世の中に出すスピードが早いかかなと思います。日本でヘルスケアもバイオロジーもロボティクスも、いろんなところに種はあります。ただ、それを早く出せないというのが一つの問題です。

志伯:まさにヘルスケアだと思いますね。システムなどはどうしてもアメリカ・ドイツの方が早いと思いますが、プラットフォームとしてのデジタルの環境は日本はすごく整っているのと、同様に医療に関するプラットフォームもすごく整っている印象があるので、その掛け算でいうと外国の人を呼び寄せるデジタルプラットフォームを医療の世界で作ることができます。

※【前編】はこちら。
「発想だけでは売れない時代」「デジタルの中に物語性をプラスする」齋藤精一氏と志伯健太郎氏が語るデジタルネイティブな日本人