今年は、アメリカで4年に1度の大統領選挙が行われます。

世界が多極化している中で、アメリカの影響力の大きさは低下しつつあるという議論もありますが、現在も世界第一のGDPと、世界最大の軍隊を有しており、米大統領が示す政策は、世界の情勢や経済に大きな影響を与えます。米大統領選挙の行方は、世界全体の関心事であると言えるでしょう。

そんな米大統領選挙の仕組みと、今回の争点を見ていきましょう。

2月に予備選(党員集会)が開始

大統領選の本選は11月ですが、2月から各州で、民主・共和それぞれの党の候補者を一人に絞るための予備選挙が始まります。

アメリカは二大政党制ではあるものの、同じ党の中でも候補者が各々異なった意見を持っているので、党を代表する候補者を選挙で選ぶのです。

党内で行われる選挙は2種類あり、候補者の名前を書いて投票する予備選挙と、集会を開いて誰を支持するかを決める党員集会があります。予備選挙を実施する州もあれば、党員集会を実施している州もあり、州によって異なります。

予備選や党員集会の投票結果を元に、夏に両党がそれぞれ開催する全国大会で、各州の党の代表者(代議員)が投票を行い、大統領選の候補者が正式に選ばれます。

本選の仕組みは?

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候補者選びが終わると、11月の第一火曜日に次の大統領を決める本選が行われます。

本選は、有権者が直接大統領を選ぶ訳ではありません。米大統領選では、「選挙人」と呼ばれる州の代表者が最終的に投票を行うからです。

選挙人の数は、各州の人口比率に応じて割り当てられており、全米に計538人の選挙人がいます。例えば人口最大のカリフォルニア州には55人の選挙人がいるのに対し、人口最小のデラウェア州には、わずか3人の選挙人しかいません。

本選では「選挙人が誰に投票するのか?」を有権者の投票によって決めるのです。各州の本選で行われた有権者の投票によって、過半数の選挙人を獲得できた候補者が、アメリカの次期大統領になります。

今年の大統領選の争点

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それでは、今年の大統領選挙における争点を見ていきましょう。

経済

世論調査会社ギャロップが2015年3月に実施した世論調査では、アメリカの86%の有権者が「経済政策は、次期大統領を選ぶ上で重要だ」と答えています。そのため、与野党問わず経済政策の重要性を訴えています。

民主党のバーニー・サンダース候補は、自身の公式サイトで「アメリカは先進国の中で貧しい者と富む者の経済格差が先進国で一番大きい。裕福な人や大企業にもっと税金を課して、その税金を貧困対策などに使う」と訴えています。

おなじく民主党のヒラリー・クリントン候補も自身の公式サイトで「景気回復の恩恵を普通のアメリカ人も感じることができるようにするため、中間層への減税、賃金の値上げ、雇用の創出を行う」と訴えています。

共和党のジェフ・ブッシュ候補は、アメリカのブログサービスMediumに投稿したエッセイの中で、「民主党のように増税ありきの分配ではなく、私の政権では企業への減税政策などを進めて、年間の国の経済成長率を4%にして貧困を解消する」と訴えています。

気候変動

民主党では、候補者全員が気候変動に取り組む必要があると訴えています。しかし一方で、共和党は「気候変動は人間の活動が原因ではない」という意見が根強く、テッド・クルーズ候補やマルコ・ルビオ候補は「気候変動対策で人権を使うべきではない」としています。

移民政策

先ほどのギャロップの調査で、61%の人々が重要な政策であると答えている移民政策は、候補者の立場が大きく分かれています。
クリントン候補は、自身の公式サイトで「不法移民とされている人々でも、これまでアメリカで懸命に働いてきた人には、アメリカ国籍が取れるようになるための制度を設計する」と訴えています。サンダース候補も自身の公式サイトで、「移民を人として公平に扱う政策が必要だ」と訴えています。

しかし、共和党のトランプ候補は、「守られるべきは不法に入ってくる移民ではなく、アメリカ人だ」として、自身の公式サイトで「メキシコ人が不法に入ってこないようにするために、メキシコ政府に対して、アメリカとの国境に壁を建設するための費用負担を求める」としています。

外交政策

世界の警察としての役割が低下するアメリカですが、大統領の外交政策は世界情勢に大きな影響を与えます。ヒラリー候補は、基本的にオバマ大統領の路線を踏襲しつつも、中東政策についてはより強硬な姿勢を見せていく可能性が指摘されています。

一方でジェブ・ブッシュ候補は、兄のジョージ・ブッシュ元大統領がそうであったように、中東に対してもより明確な姿勢を見せるべきだと考えているようです。外交政策はアメリカの利害関係を第一に考えるべきだと述べている他の共和党候補との違いが、国民からどのように受け取られるかが注目されます。

銃規制

アメリカを二分する銃規制に関する問題ですが、候補者の立場も分かれています。

共和党は「銃の所持は合衆国憲法(修正第2条「人民の武装権:規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」)で保障されている」とし、全員が銃規制全般に反対という立場です。

民主党は、クリントン候補が、「銃所持者の身辺調査を強化するべきだ」と訴える一方、サンダース候補は「農村部では銃規制が緩くても都市部のような犯罪は少ない。規制するにしても、どこでも同じように厳しくする必要はない」と訴えていましたが、今年の一月には、銃規制の強化に賛成を表明しています。

以上のように、各候補者の意見はまちまちで争点も多岐にわたっております。本選の投票日までは後9カ月程ですが、その行方はまだまだわかりません。まずは2月からの予備選に注目です。

参考記事

<選挙制度について>
https://www.usa.gov/election

<選挙争点について>

経済
http://www.gallup.com/poll/183164/economy-trumps-foreign-affairs-key-2016-election-issue.aspx
https://berniesanders.com/issues/income-and-wealth-inequality/
https://www.hillaryclinton.com/issues/plan-raise-american-incomes/
https://medium.com/@JebBush/getting-out-of-the-zombie-economy-9999eb305623#.574w3s1vy

移民
https://www.hillaryclinton.com/issues/immigration-reform/
https://berniesanders.com/a-fair-and-humane-immigration-policy/
https://www.donaldjtrump.com/positions/immigration-reform

銃規制
http://fivethirtyeight.com/features/year-ahead-project/
http://www.slate.com/blogs/the_slatest/2015/10/13/bernie_sanders_on_guns_at_the_debate.html
http://www.bloomberg.com/politics/articles/2016-01-17/sanders-backs-gun-control-legislation-ahead-of-democratic-debate