ここ数年、世界的に注目を集めている「シェアリング経済」。

日本でも、「民泊」として定着しつつある、ウェブサイトで自宅などを宿泊施設として貸し出せるサービス「Airbnb」や、登録をすれば誰でもタクシーの様に人を載せることができるライドシェアの事業をしている「Uber」など、シェアリング経済界の代表格とされるサービスの名前が広く知られるようになってきました。

しかし、「名前は聞いたことがあっても具体的には何なのか良く分からない」という方も多いのではないかと思います。

いくつかのニュースを参考に、その実態や問題点を見ていきましょう。

シェアして生活を楽しむバンクーバー市民

カナダの公共放送が2014年に放送したシェアリング経済の特集では、バンクーバーに住むアリーシャさんの生活が紹介されていました。彼女は、飼い犬のシーフ君を世話する時間がなかなか取れずにいました。

そこで、「一時的に犬を預かってくれる人を募集できるサイト」に公募を出し、シーフ君のシッターを見つけることができました。シーフ君を預かるシッターとなった夫妻は、「犬を飼える程の余裕はないが、他人の犬であっても世話をしたい」ということで、サイトにシッターして登録をしていました。犬を飼わなくても犬と触れ合うことができ、そこから収入が入るようにもなったのです。

同じくバンクーバーに住むヒラリーさんは、車や大工用具を他の人に貸し出しています。 また、ヒラリーさん自身も他人の家の部屋に宿泊することがあります。ヒラリーさんは、「バンクーバーは生活費が高い街だけど、誰かとシェアをすれば、より少ない金額で多くのことをすることができる。人との交流も生まれる」と言っています。

シェアリング経済の歴史

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シェアリング経済発祥の地は、アメリカのサンフランシスコです。

2008年、ブライアン·チェスキーとジョー・ゲビアは、旅行者に部屋を貸したい人たちと、安い宿泊先を求めている旅行者をマッチングするサイトを開設します。これが現在、民泊事業の最大手となっているAirbnbの始まりです。現在では、190カ国の人々がAirbnbを通じて民泊を行っています。

Airbnbが誕生した翌年の2009年に、サンフランシスコでシェア・ドライビング(乗客を同乗させる意志がある運転者と、安い料金で誰かの車に同乗したいと考えている人をアプリでマッチングする事業)を行うベンチャー企業「Uber」が誕生します。

現在では、世界の70を超える都市で、Uberに登録した運転手が事業を行うようになりました。

上記のような、インターネット等のテクノロジーを介して行われる経済活動が、「シェアリング経済」と呼ばれるようになっていったのです。

危機感を募らせる既存業界:トロントのタクシー業界は抗議活動も

何かを気軽にシェアできるということは、消費者にとっては選択肢が増えるというメリットがありますが、この動きが広まると、存在が脅かされる業界も出てきます。

例えば、Uberは、既存のタクシー業界にとっては驚異的な存在です。シェア・ドライビングは、やっていること自体は、タクシーの事業と全く変わらないにも関わらず、正式なタクシーではないため、タクシー業界が課せられている規制が適応されないからです。

実際にトロントのタクシー業界は、2015年6月、Uberに規制を課さない市当局に対して、トロントの市庁舎前をタクシーで占拠して取り囲み、抗議活動を行いました。この抗議活動で500台のタクシーが市庁前を取り囲んだそうです。

シェアリング経済は、本当に「シェア」なのか?

一方で「シェアリング経済は、シェア(共有)ではない」という主張もあります。

ロンドン大学のジャーナ・エクハルト教授が、2015年1月にハーバード・ビジネス・レビューに投稿した論文では、「共有とは、親しい者同士が利益などを求めずに行う社会的な行為である。その行為が利益を得ることを目的に行われたら、それは共有とはいえない」と指摘しています。

またUberやAirbnbの急成長による利益などを求める新たな「共有」の広がりとなってきました。

シェアリング経済は、ビジネスのあり方を変えつつあることは間違いないようです。

<参考記事>

https://www.airbnb.jp/about/about-us

https://www.uber.com/ja/about

http://globalnews.ca/news/2028283/toronto-taxi-drivers-to-stage-protest-against-uber-at-city-hall/

https://hbr.org/2015/01/the-sharing-economy-isnt-about-sharing-at-all