WHO、世界保健機関は2月1日、現在ブラジルなどを中心に世界32の国と地域で感染者が報告されているジカ熱に関して、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

WHOによる緊急事態宣言は、2014年8月の西アフリカにおけるエボラ出血熱感染以来となります。

メディアに大きく取り上げられるようになってきたジカ熱の流行。しかし、このジカ熱については、はっきりと分かっていない部分も多く、世界中で対応に苦慮しています。

ジカ熱の歴史

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ジカ熱の症例が最初に確認されたのは、1947年でした。WHOのジカ熱に関する情報を扱っているウェブページには、以下のように記されています。

「ジカウイルスは、1947年のウガンダにおいて、蚊が媒介することによって感染することが確認されたウイルス。蚊に刺されたアカゲザルの集団が相次いで黄熱病を発症したことが、ジカウイルスの感染が確認された最初の事例である」

その後1952年に、ウガンダでジカウイルスのヒトに対する感染が初めて報告されます。WHOによれば、これまでに、タンザニアや他のアフリカ諸国、南北アメリカ諸国、太平洋諸国などで、ジカウイルスによる感染症の流行が確認されています。

ジカ熱の症状

WHOは、ジカウイルスの潜伏期間について明確には不明であるとしながらも、数日間程度だと述べています。症状については、蚊の媒介によって発症するデング熱など他の感染症と似ているとして、発熱、皮膚発疹、結膜炎、筋肉痛、体調不良、頭痛などを挙げています。

世界中で話題となっているジカ熱ですが、ウイルス感染者の中で病的な症状を自覚しているのは約5人に1人で、ほとんどの感染者は、症状に気付かない場合がある程です。

ブラジルで2015年に流行したジカ熱 急増した小頭症新生児

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これまで、深刻に捉えられることのなかったジカ熱の流行ですが、その状況が一変する事態がブラジルで発生しました。「2015年に150万人以上がジカウイルスに感染したこと」が、ブラジル政府から発表されたのです。

これは南北アメリカ史上最大のジカ熱の流行で、アメリカのニュース解説メディアVOXによれば、「2014年のワールドカップ・ブラジル大会開催時に、外国から来た旅行者がジカウイルスを持ち込んだ可能性がある」とのことです。

そして、ジカ熱が流行した後のブラジルで急増したのが、赤ちゃんの小頭症です。一般的な乳児と比較して頭の大きさが小さく、頭がい骨の成長が不十分で、脳の発育不全やけいれん、知的障害など、様々な症状が現れる可能性があります。

ブラジルでは2015年、3500件あまりの小頭症の症例が確認されましたが、これは通常の20倍近くに上ります。ジカ熱流行の数カ月後に、小頭症の新生児が急増したことから、ブラジル保健省は2015年11月、妊婦の感染が胎児に影響しているとみて、国家緊急事態宣言を出しました。

WHOは、「海外への渡航を規制する必要はない」とするものの、ジカウイルスの感染が見られる地域に対して、「現地の最新状況や、現地へ渡航することで生じるリスクを発信すること」を求めています。

そして妊婦や、乳幼児へのジカウイルスの感染を防ぐことが急務であるとした上で、「ジカ熱の新たな医学的診断基準を策定する必要がある」としています。

一方、通常蚊が媒介するとされるジカ熱が今年に入って、アメリカ・テキサス州ダラスで、性交渉により人から人へ感染したことが明らかになりました。

いまだ実態が不明な部分も多いジカ熱。日本の関係者も妊婦の流行地への渡航を自粛するよう呼びかけています。

<参考記事>

WHOの緊急事態宣言
WHOのジカ熱に関する情報提供サイト
アメリカ疾病予防管理センターのジカ熱に関する情報提供サイト
VOXの小頭症に関する記事