アメリカの「ハイパーループ・ワン」社は次世代型の超音速列車「ハイパーループ」の初走行実験を、去る5月12日ラスベガス近郊の砂漠で実施しました。

ハイパーループは、減圧されたチューブの中を超高速で車両が駆け抜ける、次世代の高速鉄道計画です。最高時速1,200kmという、驚異的なスピードで走行させることを目標としています。

減圧チューブは完成していないため、今回の走行実験は砂漠上に設置された軌道上で行われましたが、わずか1秒間で時速約187kmにまで到達し、無事成功しました。

テスラCEOのイーロン・マスク氏が2013年に提唱

ハイパーループの構想を最初に提唱したのは、シリコンバレーに本社を構える電気自動車メーカー「テスラモーターズ」のCEO、イーロン・マスク氏です。

カリフォルニア州では2013年、州当局主導のもと、最高時速350キロ超でロサンゼルスとサンフランシスコ間、約600キロを3時間で結ぶ高速鉄道の計画が本格的に動き出しました。この高速鉄道は2015年に着工し、2029年の完成を目指しています。

マスク氏は、総工費680億ドル(約7兆5千万円)もかかる、この高速鉄道計画を、「速度が遅く、今の時代には全く合わない」と、2013年8月の自身のブログで猛批判しました。

そして、この高速鉄道への対抗案としてマスク氏が示した構想が、ロサンゼルスとサンフランシスコ間を約30分で結ぶハイパーループなのです。

マスク氏側は、ハイパーループの工費は60億ドル(約6,600億円)程度で済むと主張していますが、この見積もり額については、「カリフォルニアの地形や、建設に伴う人件費を考慮していない」と批判の声もあり、実際には60億ドルよりも多くの費用がかかるという意見もあります。

ハイパーループの開発に2社が参入

マスク氏が提唱したハイパーループの計画の実現に名乗りを挙げたのは、2つのベンチャー企業でした。

1社は「ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジー」社(以下HTT)です。HTTは、カリフォルニア州クエイ・バレーに、ハイパーループの試験路線(総距離約8キロ)の建設を2016年中に着工させると発表しています。

そしてもう1社が、今回ラスベガスで走行実験を成功させたハイパーループ・ワン社です。

民間主導で進められているのも、ハイパーループ計画の特徴です。

ハイパーループの実用化は、アメリカ国外が最初か

カリフォルニア州での走行を念頭に置いて開発が進められてきたハイパーループですが、実際の実用化となると、アメリカで実用化される可能性は低いようです。

ハイパーループ・ワン社のクヌート・ザウアー副社長は、「アメリカは環境規制がとても厳しいので、ハイパーループが開通する最初の国になることはないだろう。既にフィンランドからスウェーデン間及びロシア国内での着工を検討していて、中東諸国からも問い合わせが相次いでいる」と述べています。

一方、HTTは「ハイパーループ路線の着工をスロバキア国内で開始することについて、スロバキア政府と合意した。また、スロバキアからの路線を最終的にはオーストリアやハンガリーにまで広げていきたい」としています。

2018年完成予定の超高速輸送システム、ハイパーループに注目です。

<参考記事>

走行実験について

マスク氏のブログ記事

HTTのカリフォルニアでの計画

Micの記事

HTTとスロバキア政府の合意