IOC、国際オリンピック委員会は、8月に開催されるリオデジャネイロ五輪に、10名から成る「難民選手団」が特別参加することを発表しました。

31回を数える夏季五輪の歴史上、難民の選手団が結成されるのは初めてのことです。

中東やアフリカ諸国の難民が出場へ

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選手の出身国は、中東のシリア出身者が2名、アフリカのコンゴ出身者が2名、エチオピア出身者が1名、そして南スーダン出身者が5名となっています。

シリア出身の2名は、2012年に開催された「世界短水路選手権」にシリア代表として出場した、水泳のユスラ・マルディーニ選手(女性、18歳)と、同じく水泳選手として国際的に活躍していたラミ・アニス選手(男性、25歳)です。2011年から続いているシリア紛争から逃れるため祖国を離れ、マルディーニ選手はドイツ、アニス選手はベルギーで選手生活を送っています。

コンゴ出身の選手2名は、共に東部の街ブカヴ生まれのポポル・ミセンガ選手(男性、24歳)と、ヨランダ・マビカ選手(女性、28歳)です。2人とも第二次コンゴ戦争(1998年〜2003年)で家族と離れ離れになり、身を寄せていた児童擁護施設で柔道を習いました。そして、共に柔道のコンゴ代表選手となりますが、メダルを獲得しないと罰せられてしまうなど、劣悪な処遇に耐えかね、2013年にブラジルに亡命。以降は、ブラジルを拠点に選手生活を送っています。

エチオピア出身のヨナス・キンデ選手(男性、36歳)は、ルクセンブルクで難民生活を送り、普段はタクシー運転手として生計を立てています。昨年の「フランクフルト・マラソン」でオリンピックの出場要件を満たして完走を果たし、今回のオリンピック出場となりました。

南スーダン出身の陸上競技に出場する5名は、イエー・ピュール・ビール選手(男性、21歳)、パウロ・アモン・ロコロ選手(男性、24歳)、ジェイムス・ニャン・チェンジク選手(男性、28歳)、アンジェリナ・ナダイ・ロハリス選手(女性、21歳)、ローズ・ナティケ・ロコニエン選手(女性、23歳)です。

5名は難民キャンプから選ばれましたが、それぞれの背景は異なります。内戦が続く中、幼少期から難民キャンプで過ごしてきたビール選手とロコニエン選手、難民キャンプに来るまでは家畜の飼い主をしていたロコロ選手、10代の頃に少年兵士として拉致され、難民キャンプに逃れたチェンジク選手、両親と離れて難民キャンプで生活するロハリス選手と様々です。

IOC「難民たちの希望の象徴に」

五輪で初めて難民選手団が結成されたのは、難民問題がこれまでになく深刻な状況となっているからです。

国連難民高等弁務官事務所によると、2015年末の時点で、世界中の難民の数は6,530万人に達しており、第二次世界大戦後、最大の人数を記録しています。

IOCは、「五輪でこの10人のアスリートが活躍する事が、世界中に住む難民たちの希望となり、世界中の人々が難民の問題に関心を寄せることを期待する」との声明を発表しています。難民選手団は国旗ではなく五輪旗を掲げて開会式で入場するとのことです。

競技観戦を楽しむと同時に、難民問題について考えるきっかけとしても、リオ五輪に注目したいところです。

<参考記事>

10人の選手について

国連難民高等弁務官事務所からの発表

IOCからの声明