アメリカ司法省と教育省は、心と体の性が異なる「トランスジェンダー」である児童・生徒の、学校内での公民権を守るガイドラインを発表しました。

このガイドラインの要は、「トランスジェンダー」の子どもたちが自ら望む性別のトイレを使えるように定めている点です。

発表の背景には、自認する性別のトイレ使用を拒まれた若者は、自殺願望を抱く可能性が高くなると最新の研究で報告されたことがあります。

また、サウスカロライナ州の高校では、今年の4月、書類上は女性だが性自認は男性である高校生が、男子トイレの使用を希望したために、退学に追い込まれる事態が発生しました。

「トランスジェンダー」に配慮した市の政策を「アメリカの伝統保持」を理由に州法で無効に

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トランスジェンダーへの理解や配慮が進む中で、その動きを後退させようとする圧力も生まれています。

今年の4月、ノースカロライナ州のパット・マクローリー州知事(共和党)は、公立の学校を含む州内の公共施設のトイレを出生時の性に基づいて使用することを規定した州法に署名しました。

この法律は、州内のシャーロット市が、市内の公共施設で、自認する性でトイレを使用することができる条例を可決したことに対するものです。マクローリー州知事は、「この州の公共施設に『新しい社会の考え方』を持ち込むのは反対だ」と述べています。

これに対し、ロレッタ・リンチ司法長官は、「ノースカロライナ州では州政府がトランスジェンダーを差別している」と批判、公民権法に違反しているとして、ノースカロライナ州を5月に提訴しました。

トランスジェンダーを巡っては、様々な議論、ひいては政治的な問題が巻き起こり、対立が生まれているのがアメリカの現状です。

<参考記事>

米司法省によるトイレに関する通達

トイレの使用拒否による自殺願望の増加

マクロリー州知事へのインタビュー

連邦政府のノースカロライナ州への提訴